1.今後の原子力平和利用について 平成24年1月 KAKKIN


 KAKKINは、1961年(昭和36年)に結成以来、核兵器廃絶、被爆者支援とともに原子力平和利用を運動の柱として活動してきた。
 平成23年3月11日の東日本大震災に伴い、福島第一原子力発電所において放射性物質を放出する事故が発生し、収束に向け、懸命の取り組みが行われる中、今後の原子力平和利用のあり方について社会的にさまざまな論議がなされている。
 KAKKINは、エネルギーの安定供給や地球環境保全の重要性を踏まえ原子力の平和利用を掲げてきた団体として、今回の事故を重く受け止めた上で、この問題についての現時点における見解を以下のとおり内外に表明する。


1.事故の収束
 事故収束に向け現在の懸命の取り組みが行われているが、今後とも国、電気事業者をはじめ関係者が連携を密にし、避難されている方々が一刻も早く通常の生活に戻れるよう、事故収束に向け万全を期さなければならない。


2.原因究明と調査の上での安全対策の徹底と規制体制の再構築
 国の調査委員会においては、事故に至った経過、原因等について徹底的な調査をなし、国内外へ調査結果を公開するとともに、設備、運営をはじめ広範に、それに基づく安全対策を徹底しなければならない。
 さらに、調査結果を踏まえ、安全・安心を確保するため安全規制体制のあり方を検討し、再構築しなければならない。
 また、国、電気事業者等は、コンプライアンスに関わる指摘に的確に対応し、信頼回復に努めなければならない。


3.事故後対応の検証の上での非常態勢への体制整備
 事故後から今日までの国等の対応を検証した上で、今後の非常事態への対応に万全を期すため、必要な法整備を検討するべきである。
 さらに、原子力防災のあり方、原子力損害賠償に関する国と事業者の役割分担など、原子力利用に関わる環境整備を広く検討しなければならない。


4.今後の原子力平和利用
 今後のエネルギー政策については、我が国を取り巻く情勢を適切に認識した上で、開かれた国民的論議を行いつつ決定していくべきである。
 我が国にけるエネルギー政策のあり方を見通すと、引き続きエネルギー安全保障・安定供給、地球環境保全、経済成長(3E Energy Security Environment Conservation Economic Growth)を重視しなければならないことに変わりはなく、安全対策に万全を期した上で、必要なエネルギーとして原子力を位置づけていくべきである。
 その理由は以下のとおりである。

(1)我が国のエネルギー基盤が脆弱であることを踏まえ、エネルギーベストミックスを追及すべきである。
 再生可能エネルギー(太陽光、風力等)の利用を積極的に進めるべきだが、供給の不安定性(火力、蓄電池等でバックアップすることの必要性)、コスト高などにより現状では拡大に限界がある。
 火力についても、環境保全の観点から高効率化を図ることが求められるが、新興国の燃料需要が急増する中で燃料価格が変動し高騰する懸念があり、過度に依存するのは得策ではない。原子力を稼働させず、火力でそれを補うと年間約3兆円の燃料費増と試算されている。また、効率化を徹底的に求めるにせよ、地球環境保全への影響は避けられない。
 さらに、当面の原子力利用の放棄は、国際的な資源獲得において交渉力を失うことにつながりかねず、燃料購入価格の上昇を招くとともに、我が国のエネルギー安全保障を危うくする可能性がある。

(2)我が国の選択に関わらず、国際的には原子力利用が進む現実がある。
 アメリカ、フランス等先進国および新興国において、原子力利用は継続・拡大する。イタリア、ドイツが脱原子力の方向を打ち出したが、電力系統がつながっているヨーロッパ全体では、我が国を上回る原子力比率が維持される。
 また、インド、ベトナムなど新興国は我が国の高度な原子力技術に引き続き期待しており、我が国はそれに応えていく責務がある。さらに、我が国は国際的な原子力発電の安全基準確立に一定の役割を果たしてきたところであるが、今回の事故の検証の上に、更なる技術の高度化を追求して、国際社会に貢献しなければならない。その貢献は、国際的に原子力利用が進む中で、我が国の安全・安定を確保していくものにもつながるものと考える。


5.エネルギー政策に関する国民合意の形成
 エネルギー政策は国の将来に決定的な影響を与えるものであり、国民的な議論の上に選択・決定がなされなければならない。
 政府は客観的な情報を開示し、透明で国民に開かれた議論を行った上で合意を形成し、政策を決定・展開すべきである。